研究者総覧

本間 光一 (ホンマ コウイチ)

  • 薬学部 教授
  • 大学院薬学研究科 教授
Last Updated :2025/04/24

研究者情報

所属

  • 薬学部 教授
  • 大学院薬学研究科 教授

学位

  • 博士(薬学)(東京大学)

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J-Global ID

プロフィール

  •  鳥類の脳は、哺乳類と同様に大きな大脳を備え、成鳥であれば柔軟性を発揮できることがわかっていました。また、ヒヨコを利用すればヒトを凌ぐ視覚能力を利用した学習を、孵化直後から研究室の中でさせることができることを私たちは知っていました。2012年には、「刷り込み」という親鳥を記憶する学習を測定できる実験系を利用して、甲状腺ホルモンが刷り込みに必要であること、そして刷り込み能力を失ったヒヨコに甲状腺ホルモンを注射すると、刷り込み学習ができるようになることを示しました(Nature Communications 3, 1081(2012))。


     そこで私たちは、ヒヨコの認知的柔軟性を測定できる実験系を独自に開発して、孵化後間もないヒヨコに認知的柔軟性が備わっているか否かを調べることにしました。そして、もしヒヨコに認知的柔軟性が備わっているならば、刷り込みで重要な役割を果たしている甲状腺ホルモンが柔軟性にも関わっているのではないかと考えました。


     するとヒヨコは、薬剤を使って甲状腺ホルモンの合成を抑えると柔軟性は失われ、逆に脳にホルモンを注射すると柔軟性が高まることがわかりました。このような課題転換と反転学習の組合わせを考えうる限りすべて行い、また転換しない条件や反転させない学習では柔軟性は見られないということも確認しました。さらに、鳥類の前頭連合野といわれる脳領域を組織破壊すると、学習する能力はあっても柔軟性は失われることがわかりました(Science Advances 10, eadr5113 (2024))。


     鳥の認知的柔軟性が孵化後間もないヒヨコで示され、甲状腺ホルモンが重要な役割を果たしていることがわかりました。老化した脳は柔軟性を失います。しかし、環境変化への適応力を獲得することによって認知能力の退化は補われます。甲状腺ホルモンが、老化した脳の柔軟性の回復に寄与するのではないかと大きな期待を抱かせる研究成果と考えています。

研究キーワード

  • T3/T4   甲状腺ペルオキシダーゼ   甲状腺ホルモン   刷り込み   包括脳ネットワーク   ニワトリ   行動   記憶   抗菌ペプチド   IDGF   calreticulin   細胞増殖因子   好中球   刻印付け   Dendritic spine   最初期遺伝子   ルシフェラーゼ   遺伝子発現   長期増強   カテプシンL   BDNF   イメージング   メモリープライミング   学習臨界期   細胞増殖   LTD   c-fos   CECR1   アデノシンデアミナーゼ   錐体細胞   U937   slingshot   学習感受性期   海馬   

研究分野

  • ライフサイエンス / 薬系衛生、生物化学
  • ライフサイエンス / 動物生理化学、生理学、行動学
  • ライフサイエンス / 発生生物学
  • ライフサイエンス / 構造生物化学
  • ライフサイエンス / 分子生物学

経歴

  • 2023年04月 - 現在  帝京大学大学院医療データサイエンスプログラム
  • 2008年04月 - 現在  帝京大学薬学部教授
  • 2005年05月 - 2008年03月  帝京大学薬学部准教授
  • 2004年04月 - 2005年05月  帝京大学薬学部講師
  • 2002年05月 - 2004年03月  アメリカ カリフォルニア大学バークレー校神経生物学部訪問研究員
  • 2000年04月 - 2002年04月  ドイツ マックスプランク神経生物学研究所訪問研究員
  • 1993年04月 - 2000年03月  東京大学大学院薬学系研究科助手

学歴

  • 1993年03月 -   東京大学   大学院薬学系研究科   博士課程修了 博士(薬学)(課程)
  • 1990年03月 -   東京大学   大学院薬学系研究科   修士課程修了 薬学修士(課程)
  • 1988年03月 -   東京大学   薬学部   薬学科 卒業

所属学協会

  • ニューロエソロジー談話会   Society for Neuroscience   日本生理学会   日本生化学会   日本動物学会   日本神経科学学会   日本薬学会   日本行動神経内分泌研究会(JSBN)   Society for Behavioral Neuroendocrinology (SBN)   FAOBMB, The Federation of Asian and Oceanian Biochemists and Molecular Biologists   鳥類内分泌研究会   

研究活動情報

論文

MISC

産業財産権

共同研究・競争的資金等の研究課題

委員歴

  • 日本生化学会   FAOBMB(Federation of Asian and Oceanian Biochemistry and Molecular Biology) 日本代表
  • Associate Editor on the Editorial Board of Learning and Memory (specialty section of Frontiers in Behavioral Neuroscience)
  • 私立薬科大学協会、薬学教育協議会   教科担当教員会議委員(微生物)
  • 日本生化学会   代議員
  • 日本薬学会   薬学微生物学教員会議委員
  • 経済産業省   地域技術開発支援事業に係る事前評価委員
  • Review Editor on the Editorial Board of Avian Physiology (specialty section of Frontiers in Physiology)

担当経験のある科目

  • 細胞分子生物学特論帝京大学
  • 感染免疫学帝京大学
  • 化学療法学帝京大学
  • 感染症学帝京大学
  • 微生物学帝京大学
  • 免疫学帝京大学
  • 分子生物学帝京大学


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